工房との決別。そして。

  • 2019.12.17 Tuesday
  • 21:34

12月に入ってから、苦渋の選択を迫られていました。

多くの葛藤と今後の方向性への悩み、なぜか重く感じた夢というもの、そんな感情に苛まれる日々でした。

 

お世話になってきた靴の老舗の工房が、今年いっぱいで閉めることになったのです。

 

5年前、MABATAKI美雨をはじめる時、職人さん達の手をお借りしたくても何の繋がりもない自分達。

前職の量産品を作ってきた自分達には、全く畑違いだった国産の靴。

なんとか知り合いをまわりに回って知り合った靴工房。すぐに此原と二人で押し掛けるように行くと、今にも倒れそうな古すぎる日本家屋の2階にその工房はありました。

 

OEM(卸し先の別注)が中心なのが一般的な靴製造。

工房の社長さんは、「どこのOEMの靴を作るの?お客はどれだけいるの?」

と聞いて来ました。

「卸し先は何もありません。。お客さんは、まだ1人もいません。。いつかきっとできます。。

自分達の本当に作りたい靴を作りたいのです。そう思って独立して始めました。力を貸してほしいのです。」と頭を下げました。

今思えば、どこの馬の骨かわからない絵空事の話で、

お金もちゃんと支払う力があるのかどうか懐疑に思うべきですし、普通は断るお話。

ところがこの社長さんの返答は、

「面白いね!協力したくなるね!」

 

その日から、毎日のように通い詰めて、昔の靴作りの話を伺ったり

仕事の合間にゲージを見てもらったり(特に最初の雫と a pansy は、おおげさではなく100回ぐらいやり直してます)

なんとか形になってきても、変わった靴なので職人さんたちが受けてくれない部分もあり、

自分達も入り込ませて頂きながら、少しずつ少しずつ一緒に靴を作ってきました。

 

この5年間の間にも靴産業の状況は変わっていきました。

はじめ、工房の会社の中で一番小さいのが美雨でした。

安い海外産の靴にシフトし始めるメーカーや、市場もデフレが進み、

中心的だったお客も姿を消し、また1つ消え、

存続のお客もオーダー数が日に日に減っていきました。

気が付けば、0の状態から少し芽がでてきたMABATAKI美雨と、オーダーがときどきしか来ない2つのお客のみ

となりました。

この1年間は、毎月安定した生産を心がけて、

うちが大きくなれば、工房もきっと建てなおる。 そう信じて日々、ベストに想いを込めて進めてきました。

しかし、工房の負債はカバーできるはずもなく、ここで力及ばずなのが、現状でした。

 

工房の家賃をうちがなんとか頑張って半分払う案や、なんとか存続する方法を取りましたが、それを話に行くたびに、切羽詰まった社長さんとも、もめてしまったりと

悪循環にしかならずで、あきらめざるを得ませんでした。

 

複雑な感情が残る中、靴を継続するなら、どういう形で靴を作っていくのか。

大きな問題がそこにはありました。

 

なぜか、今回の件でうちを責める方もいらっしゃり、伸びているのだから負債はもってやるべきだと言われたりしました。うちを華やかに見る方もいらっしゃるようですが、会社にもしていない個人事業で、2人の小さな事業で力不足な事は、言う方よりも自分達のほうがわかってるよと。そんなことに傷ついたりしている場合ではないのですが。いろいろと悩みました。

 

こんな想いをするなら、辞めようか。そんな話も、日に日に、増えて

靴なしのMABATAKI美雨も構想しました。

工房に入り込んで一緒に作らず、工場に数量をオーダーメールだけして出来たものをただ、納品してもらう。

自分達が、辞めてきた量産の靴の方法。楽ですが、これはやっぱりなしだった、

手仕事の薄いMABATAKI美雨は、自分たちも納得いかないし、他のブランドでいいだろうと。

 

方向性が迷走して、悩みに悩んで感情が揺れる悶々とした日々でした。

 

此原と何度も話し合い、やっと方向を決めました。

それは、二人でお店以外にもう1つ、小さな工房をつくるという選択肢でした。

安い家賃で音を立ててもいい物件。これには、手こずりましたが、倉庫物件などを探し続けて

やっとなんとか小さな場所が見つかりました。

いくら小さな安い物件とはいえ、機材などもリスクをもって入れざるを得なく

経営的に賢い選択ではないとは思っています。

こんな知る人ぞ知る小さなブランドが、自らの工房を持つという選択肢はあまりに危ういからです。

 

これでやってみて 駄目なら駄目だ。 此原と腹をくくって決めました。

蔵前のお店の時もそうなのですが、リスクが伴うことは、なかなか一人では出来ない自分がいますが、

二人では、なんとか選択してきました。

 

明日、お世話になった工房から、荷物を新たな場に移します。

 

お世話になった工房へ向かう急な階段。朝、昼、晩と通った場所。

明日が、最後だなぁ。

感傷的にならないように、前を向かなきゃなぁ。と言い聞かせています。

 

長々となりましたが、ここ最近の報告でした。

頑張ります。

 

 

 

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